2011年3月11日、国内最大規模のM9.0の大地震が起こったあの時、私は仙台の中心部にある会社でいつも通り仕事をしていました。
突然地面がドンドンと音をたてながら縦に揺れ、たくさん並んだ机は吹っ飛び、大きな書棚が次々に倒れ、私は頭が真っ白になりながらその場に捕まることで精一杯・・・。
一瞬にして日常が壊れた瞬間でした。
日本は地震大国であるため、地震に関する心配は尽きません。その為の対策や準備は常日頃気にかけておくべきでしょう。
ここでは、東日本大震災で被災した私自身が本当に必要だと感じた「アイテム」「対策」「知識」についてご紹介します。
被災したらどんな状況になるのか
その場所の被害状況によりますが、ここでは私の体験に基づいた内容で記載します。
まず、電気・ガス・水道などのライフラインが全て絶たれ、携帯電話は電波が混み合ってほとんど繋がりません。(当時、私が使っていたソフトバンクはまったく繋がりませんでした。一番繋がりやすかったのはAUです。)
そして、充電がなくなれば家族や友人との連絡はとれなくなります。
道路は壊れ、車は動きがとれないうえに大渋滞。それでも車以外の移動手段がない為、人々はタクシーを捕まえ更なる渋滞が起こります。
自分たちが今どんな状況に置かれているのかの情報はほとんど入ってきません。
また、日が暮れれば辺りは真っ暗。寒い時期であれば凍えるしかないのです。
これは被災した当日のことです。
被害の状況が大きく落ち着かない生活が長くなるほど、今度は精神的な面での問題が急増します。
テレビや本では美しいエピソートばかりを取り上げますが、実際にはそれが全てでは決してありません。
誰もが生き抜くことや大切な人を守ることで精一杯になり、争いごともよく起こります。
追い詰められた状況こそ、それぞれの人が持つ本質が見える瞬間だと本当に感じました。
絶対に備えておくべき4つのアイテム
【懐中電灯】
辺りが薄暗くなってきてもなお余震が続く中、私は壊れた家の中に一人きりで、暗闇にいるのが本当に怖くて不安でした。
何も出来ない夜というのは本当に長く感じます。
状況が変わらないとしても、人は光があるだけで心が少しホッと出来るものなのだと思いました。
【飲料水】
徒歩で家へ戻る途中に通りがかったコンビニでは、既に商品を求める人でパニック状態。トラブルに巻き込まれるのが怖かった私は購入を断念しました。
徒歩でようやく家に戻れた私は、とても喉が渇いていましたが、当然水は出ません。
家に数本ストックしてあった水を持って、近くの小学校の体育館へ避難しました。
配給や炊き出しが始まるまでには時間がかかります。飲み水を確保しておくことは本当に重要です。
【ラジオ】
テレビはもちろん使えませんし、携帯電話の充電もなくなってしまえば、どこからも情報が入らなくなってしまいます。
自分がどんな状況に置かれ、これからどうなっていくのか分からないというのは、本当に不安で怖いものです。
また、実際に私が津波被害について知ったのは電気が通った地震発生から1週間以上も後のことで、テレビで初めて数々の被害映像を見た時は、想像をはるかに超える状況に心が痛くなるばかりでした。
【ウェットテッシュや除菌アルコール】
水が使えないということは、手を洗うことも出来ません。
片付けや探し物など、色んな作業の為にすぐに手が汚れますし、不衛生なトイレを利用しなければならないこともあります。
被災地は土埃が舞うことも多く、感染症を防ぐためにもウェットティッシュや除菌アルコールというのは絶対必要です。
これらは、命を守る為に最低限必要と感じたものです。非常食や簡易トイレなども、備えておくに越したことはありません。
また、これらを準備したらなるべく玄関の近くに置くようにしましょう。
様々な物が家の中で倒れたり割れたりしている為、家の奥に置いたのでは取りにいけない場合もあるからです。
対策として出来ること
【風呂水のためおき】
水が出なくなった時は、お風呂の水がとても重宝します。
手を洗ったり、体をふいたり、自宅のトイレが壊れていなければ用を足したときに流すことが出来ます。
少しでも衛生的に過ごせることに繋がりますので、常々水はお風呂に溜めておくようにしましょう。
【家族間の連絡方法の確認】
私の場合は携帯電話がまったく繋がらなかった為、インターネットの「災害掲示板」に書き込みしたのですが、実際はそれを見てくれた家族はいませんでした。
充電が残りわずかというところでなんとか家族と電話が繋がり、安否や居場所を確認できましたが、もしも充電が切れていたら、誰の携帯番号も覚えていなかった私は家族と何日も会えなかったことでしょう。
何かあった時の待ち合わせ場所や、連絡方法については決めておくことをおすすめします。
被災した時に避難所で注意するべきこと
避難所は、必ずしも安全な場所ではありません。
高いストレスに晒され続ける避難生活で、不慣れな集団生活を送っていると、被災者同士のトラブルが必ず起こります。
以下の内容を知識として持っていれば、避けられるトラブルもあると思いますのでご紹介します。
【自分の持ち物の管理】
被災地では被災者による略奪行為が発生します。盗られるのは主に生活必需品であり、「生きるためにやむを得ないこと」と考える人も多いのかもしれません・・・。
その為、個人のスペースに誰もいなくなるのを避けることや、自宅にある大切な物は予めできるだけ回収したり、処分するといった対策が必要です。
【女性は一人でいてはいけない】
東日本大震災のとき、女性が性的被害を受ける事件が頻発しました。「家族に迷惑をかけたくないから」という理由から被害届を出さない女性も多くいた為、実際は報告されている件数よりもずっと多いと思われます。
普通の状態では考えられないことですが、周囲で暴行に気付いている人が数名いたとしても、過度の疲れとストレスから「暴行を止める」よりも「輪を乱さないように黙認する」ことを重要視する人が多く、誰も助けてくれない可能性があります。
夜に避難所で女性が一人で眠るのは非常に危険です。また、避難所以外でも人気のないところ等は避けるか、誰かと一緒に行動するようにしましょう。
まとめ
東日本大震災から既に8年が経過しました。
死者・行方不明者を合わせて約1万8000人。一人一人のドラマをこんな数字ひとつで表すのは忍びないと思うくらい、たくさんの悲しみがありました。
近年、関東地区を中心に大地震がくることが予想されています。
それは30年後かもしれないし、明日かもしれません。
準備や対策をするしないは人それぞれですが、災害時にそれが運命の分かれ道とならないよう、今一度対策の重要性について考えてみてはいかがでしょうか。
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